走査型電子顕微鏡による観察で見い出したヒト射出精子の持つ形態異常
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概要
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精子は、生物を構成する細胞の中でも極めて特徴的である。それは雄性個体の持つゲノムを体外へ運び出し、雌性配偶子と融合させる、いわゆる受精を行うからである。この複雑な役割を担う精子の形態は生物の種類により著しい違いがあるが、多くの動物では基本的な構造は共通しており、先体や核などを含む頭部、ミトコンドリアや中心粒などを含む中片部、そして運動の為の微小管などを含む尾部に分かれる。精子の形態や精子形成に関する研究は、脊椎動物ではマウスやラット、カエル、メダカなど実験に用いられる動物を中心に、幅広く行われている。ヒトにおいても精子の形態は精子形成過程を通じて電子顕微鏡レベルで詳しい研究が幅広く行われている。ヒトの場合、いわゆる不妊治療の一環として人工授精が行われており、他の動物とは異なり、個体レベルでの精子の形態、特に射出精子の形態が問題になることが多い。しかし、精子を調べる唯一の検査である精液検査では精子の形態は光学顕微鏡による観察のみで行われ、更に、この検査では様々な形態の異常をひとまとめにして、精子奇形率として算出するため、その形の異常が例えば精子の運動能や先体反応、卵との受精などに、どの様な意味を持っているかはあまり調べられていない。今回我々は複数の男性から提供された射出精子を試料とし走査型電子顕微鏡により観察した。その結果、特徴的な外部形態の異常をもった精子を複数の男性の試料中に共通して見い出したので報告する。
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