順次ガス供給システムと感染対策用酸素マスクの開発(特別講演I,第151回名古屋市立大学医学会例会)

概要

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順次ガス供給システムは呼吸サイクルの吸気に2種の異なる組成のガスを順次供給する機能を持ち,特定の設定下では,過換気時に換気量に関わらず体内CO_2濃度を一定に保つことを可能にするシステムである.これは従来あった呼吸回路には無い機能であり, 1998年に発表された後,理論面での修正を加えながら,自己再膨張バッグ付システム,再呼吸バッグ付システムなどが加わり,応用範囲が拡大している.順次ガス供給システムは,開発当初は体内ガス(一酸化炭素,吸入麻酔薬など)の排泄促進に用いた.その後, CO_2のみならずO_2の肺胞内濃度もコントロールできることを利用した, CO_2単独またはO_2単独変化などを利用した負荷生理検査などに利用している.加えて,このシステムでは吸気相前半に加えられるガスは効率良く気道内に吸入されるために,吸気相前半に酸素を供給すれば酸素を効率良く利用することができる機能を使用した高濃度酸素マスクを考案した.このうち高濃度酸素マスクから派生して作られた感染対策用酸素マスクは新型インフルエンザなどの呼吸器感染症に対する院内感染対策の1つとして,臨床使用が広がる可能性があると考える.順次ガス供給システムは過換気時に換気量に関わらず肺胞気(あるいは動脈血) CO_2濃度を一定に保つ方法としてカナダ・トロント大学麻酔科のFisherらにより開発された. 1998年に発表された後,理論面での修正を加えながら,自己再膨張バッグ付システム,再呼吸バッグ付システムなどが加えられて応用範囲が拡大している.システムを直接利用しているものに, (1)CO_2維持下過換気による一酸化炭素排泄促進,吸入麻酔薬排泄促進, (2)順次ガス供給システムを利用した,高炭酸ガス負荷・低酸素負荷生理検査, (3)自発呼吸下の呼気CO_2ガスによる心拍出量測定, (4)高濃度酸素マスクがあり,さらに高濃度酸素マスクから感染村策用酸素マスクを考案している.本稿では,我々が,トロント大学の麻酔科とともに共同開発した. CO_2維持下過換気法の原理と,順次ガス供給システムを利用した高濃度酸素マスクから派生して考案した感染対策用酸素マスクについて紹介する.
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順次ガス供給システムと感染対策用酸素マスクの開発(特別講演I,第151回名古屋市立大学医学会例会)

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