中国における天然林保護政策が地元農村に与える影響 : 延辺朝鮮族自治州を事例として
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概要
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天然林保護政策は,国有林経営およびその職員・労働者の生活だけでなく,国有林の資源に依拠して生活している地元の農民にも何らかの影響を与えていると考えられる。そこで本研究では,延辺朝鮮族自治州のT村とN村を事例に,収入の変化に関して農村調査を実施した。その結果,国有林企業における臨時雇用からもたらされる収入と非木材林産物の販売収人の2つの側面で影響が認められた。前者は国有林における伐採量の減少に伴って生じた就労機会の喪失であり,後者は林地貸付による非木材林産物資源の国有林関係者による独占,ならびに農民に対するアクセス制限によるものであった。これらの影響は,移民によって形成された漢民族のT村の方が,先住民である朝鮮族村のN村より大きい。減収に対して,T村では土地集約的な作付けへの転換と家畜飼育など多角経営を導入することにより補っている。一方N村においては,もともと国有林に対する依存度が低かっただけでなく,天然林保護政策の影響を出稼ぎによる仕送りの増加が相殺し,現金収入水準の維持に貢献している。しかし若年層の出稼ぎや離村が続くと,いずれ過疎化・高齢化の進行という問題に直面すると推測される。
- 2005-03-01
著者
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