中国における天然林保護政策が国有林企業に与える影響 : 長白山林区を事例として
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概要
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本研究は,1998年に導入された天然林保護政策を契機として,国有林企業をめぐりどのような変化が生じたのかを明らかにすることを目的としている。天然林保護政策とともに,国有林は重点公益林,一般公益林,および生産林にゾーニングされ,重点公益林では伐採が認められなくなった。その結果生じた減産に対し,長白山林区の白河林業局は管理部門及び幹部職員を削減した。作業量の減少に対しては,当初造林部門等への配置転換によって対処したが,その作業量にも限界があり,1999年からは一時帰休が適用された。一時帰休職員の最低限の生活は,中央政府により保障され,これまで林業局が負担していた地域社会の運営に必要な費用も補填されている。現状では,地域社会に著しい混乱を招くことなく,過伐による拡張を続けてきた国有林経営組織の合理化が進行しており,同時に公益林における禁伐を守ることによって,今後資源は回復に向かうものと考えられる。しかしこれまで自由に採集できた非木材林産物については,一時帰休職員・労働者のみに排他的利用権を認めるようになったため,これまで国有林における採集で家計を補っていた地元農民は国有林から排除され,生活が圧迫されている可能性がある。
- 林業経済学会の論文
- 2004-03-01
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