ニホンジカの採食圧を受けてきた冷温帯自然林における採食圧排除後10年間の下層植生の変化
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概要
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シカの採食圧を受けてきた丹沢山地冷温帯自然林の4タイプの林床型,すなわち短茎草本型,高茎草本型,スズタケ型,ミヤマクマザサ型の植生保護柵内外で10年間の下層植生の変化を調べ,シカの採食圧の高まる前の状態に柵内の植生が変化するかどうかを検討した。その結果,どの林床型も植生保護柵を設置して10年経過すると柵内で低木層の植被率が増加し,低木層の種数も増加した。スズタケ型では低木層でスズタケの被度が大幅に増加した。草本層の種組成の変化は林床型によって異なったが,柵内では全体として直立型の多年生草本が増加する一方で,小型の多年生草本や不嗜好性植物が減少する傾向があった。さらに,高茎草本型ではシカの採食圧により減少したとされる絶滅危惧種も出現した。一方柵外では10年経過してイネ科の一年生草本や小型の多年生草本が増加したが,植被率や種多様性は減少しなかった。以上のことから,丹沢山地の冷温帯自然林ではシカによって衰退した下層植生でも10年間シカの採食圧を排除すると以前の植生の状態に変化すると結論した。
- 2007-12-25
著者
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