看護学における「SLEEP PROMOTION」の概念分析 : 認知症高齢者の睡眠を整えるケアの概念モデル作成の基盤として
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概要
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本研究の目的は,sleep promotionの概念分析を行うことで,1.sleep promotionの看護学における特徴を抽出する,2.認知症高齢者の睡眠の研究を行うにあたって活用できる概念を考察することである。看護で使用されているsleep promotionの概念の検討を目的としたため,検索ツールをCumulative Index of Nursing and Alied Health Literature (CINAHL)とし,検索語を「sleep promotion」としたところ,41件が得られ,この中から33件を分析対象とした。概念の発展的生成を目的としたため,Rogersの方法を用いて分析を行った。結果,属性は看護師の介入であり,「睡眠状態のアセスメント」,「環境調整」,「リラクゼーション」,「睡眠衛生教育」,「概日リズムのリセット」,「薬物使用」,「食物・飲み物の摂取」,「症状コントロール」の8カテゴリーであった。先行要件は,睡眠が阻害される要因であり,「睡眠を妨げる環境」,「睡眠を阻害する症状」,「概日リズムをリセットできない環境」,「対象特有の睡眠パターン」,「一般的身体・精神疾患」,「原発性睡眠障害」,「睡眠についての望み」の7カテゴリーであった。帰結は,望ましい睡眠状態を表す帰結と,これが達成された場合の帰結とに大別された。望ましい睡眠状態としての帰結は,「満足できる睡眠」,「夜間睡眠の改善」,「日中の覚醒の改善」,「本来の睡眠覚醒リズムを保つ」の4カテゴリーであった。望ましい睡眠になった場合の帰結は,「薬剤使用の減少」,「精神状態の安定・改善」,「回復促進」,「生活の質の向上」,「コストの軽減」の5カテゴリーであった。看護学におけるsleep promotionの特徴は,非薬剤性の介入を主体としていること,先行要件と帰結での主観の重視,個人の睡眠に合わせることの重視,二次的なアウトカムの重要性の強調であった。認知症高齢者へのsleep promotionでは,主観が判定困難であること,本来の睡眠パターンに個別性がみられることから,アウトカムの設定に困難があり,これらから,二次的アウトカムの重要性が強調されると考えられた。
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