臭気の検出能力測定に基づく新規大気質指標の提案
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概要
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嗅覚測定に基づく新しい大気汚染指標を提案し,「臭気指数変化(Shift of Odor Index,SOI)」と名付けた。SOIは「環境大気の汚染状態がヒトの臭気の嗅ぎ分けを妨げる程度」の計測であり,ある標準的な臭気物質(標準臭気試料)の検出を,無臭空気中および測定対象である環境大気中で測定し,それぞれで算出される臭気指数(Odor Index,10×log(臭気濃度)で定義される値)の差により算出される。本研究では,標準臭気試料にn-ブタノールガスを用いた。最初に,SOIの計測で要求される臭気指数の差異の検出力を高めるために,三点比較式臭袋法の測定手順に独自の改良を加え,その手順で用いる個人嗅覚閾値の算出方法を検討した。その結果,3倍希釈系列の1段階を4等分した個人嗅覚閾値算出用の尺度が,5等分した尺度よりも適していると判断された。さらに,幹線道路近傍大気を対象としたSOIの測定を,主要な大気汚染物質濃度の計測と同時に行った。その結果,一般幹線道路と高速道路では,SOIと主要大気汚染指標との間の関係に異なる特性が見られた。またSOIは,非メタン炭化水素(NMHC)とは挙動が異なる,独自性の高い指標となり得る可能性が示された。一方,環境大気中の主要な臭気物質であるアセトアルデヒドに対するSOIの検出感度は,通常の臭気指数測定の場合と比較して劣っていると予想され,SOIの検出力向上には,標準臭気試料の再検索などが必要であると考えられた。
- 2008-09-01
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