被験者の逐次嗅力計測に基づく臭気指数校正に関する実験的検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
我が国では,物質濃度規制を補完する臭気の測定方法として臭気指数規制が導入されているが,臭気指数測定法(嗅覚測定法)の精度管理ついては,現在も継続的に検討が行われている。本研究では,嗅覚測定法の精度向上を目的に,独自の臭袋法で標準物質に対する被験者嗅力を測定して臭気指数を校正する手法を提案し,その効果について実験的に検証した。標準物質には n-ブタノールを用い,被験者嗅力を測定する修正臭袋法では,個人嗅覚閾値濃度に基づく個別の初期呈示濃度と嗅覚閾値付近で希釈段階を狭くする不均等な希釈系列を採用した。また,測定対象とする臭気試料には,トルエン,酢酸エチル,トリメチルアミン,メチルメルカプタンの4種類を,それぞれ文献で報告されている嗅覚閾値濃度の300倍に調整して使用した。また臭気指数の校正時には,各被験者の測定結果から「個人嗅力の異常値」および「測定試料と標準試料との感度差の特異値」を削除し,残る被験者の測定値に対してそれぞれ標準試料に対する個人嗅力に基づいて校正を行い,臭気指数を算出した。実験の結果,トルエンおよび酢酸エチル臭気の校正は適正であった反面,トリメチルアミン臭気の校正には効果が見られなかった。また,異常値の削除範囲を適切に設定することによって,より適正な臭気指数を得ることができると考えられ,被験者嗅力の測定に修正臭袋法を用いることで,標準的な臭袋法を用いた場合と比較して若干高い校正効果が観察された。
- 社団法人大気環境学会の論文
- 2003-01-10
著者
関連論文
- 臭気の検出能力測定に基づく新規大気質指標の提案
- 3F0915 鉄存在下の微生物反応が窒素酸化物除去に及ぼす影響
- 「におい・かおり」コメント
- 家庭生ゴミ減用乾燥ガスの臭気(3)
- 家庭生ごみ減容乾燥ガスの臭気(1) (特集 さまざまな分野における悪臭対策と悪臭防止技術)
- 路側帯生態系による幹線道路の窒素酸化物除去効果と土壌組成の制御による効果向上の可能性
- 路側帯生態系における窒素酸化物の挙動に関する研究
- 1F1006 トウを用いた臭気物質の吸着特性 : 流入ガスに対する濃度変動緩衝用吸脱着材の検索(5物質-5有害化学物質/6悪臭,一般研究発表)
- 1L1730-2 簡易嗅覚測定法の比較検討(簡易嗅覚測定法と臭気強度の標準化に向けた取り組み,10.臭気環境分科会,分科会)
- 1A1312 大気質指標SOIにおける標準臭気試料の特性と測定感度との関係(5物質-6悪臭/2手法-1計測分析,一般研究発表)
- 新規生物脱臭装置を用いた複数のVOC成分を含む汚染空気の処理
- VOCを処理対象とした生物脱臭装置の研究開発動向
- 41481 介護施設を対象とした室内空気清浄用バイオフィルターの基礎性能試験(フィルターによる化学物質の除去, 環境工学II)
- ガス状トルエンの処理を対象とした新規生物脱臭装置の開発
- 「薬液」から「生物」への転換
- 被験者の逐次嗅力計測に基づく臭気指数校正に関する実験的検討
- 1L0930 森林土壌内の硝化反応および脱窒反応が亜酸化窒素生成に及ぼす影響
- 臭気の特徴とその評価
- 2D04 森林土壌の性状と亜酸化窒素生成との関係
- 1I01 防音壁による幹線道路の窒素酸化物拡散防止効果
- 硫化水素を処理対象とした生物脱臭装置における充填担体の性能評価
- 1B1015 生物脱臭装置の充填担体内外での物質移動特性とH_2S除去効率との関係
- 簡易嗅覚測定器具の開発 : オンサイト測定を想定した希釈装置
- ガス状VOC処理装置の機能評価を目的とした装置内微生物群集の観察
- 生物脱臭装置を用いた塗料排気に含まれる混合VOCの処理
- VOCの生物処理 (新年号特集:VOC排出抑制技術)
- バイオフィルター関連の最新研究動向--第91回Air&Waste Management Association年次講演会より (特集 VOCの生物除去研究の現状(1))
- 充填塔型生物脱臭装置の設計基準および操作条件の考え方
- 生物脱臭法の現状と今後の課題
- 面源からの大気拡散の計算について : Mathematica による計算
- ガス状臭気成分の流入負荷変動に対する充填塔型生物脱臭装置の動特性
- 特集にあたって
- 消臭の考え方からみた消臭加工繊維
- 3C1405 幹線道路トンネル壁面に生息する微生物の群集構造解析(1空間-2道路沿道,一般研究発表)