中小資本による古紙を原料とした家庭紙生産に関する研究
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概要
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本稿は,古紙を利用して家庭紙を製造している中小資本に注目し,その生産力的役割と経済的位置を分析したものである。愛媛県川之江市および伊予三島市周辺や静岡県富士地域では独占資本のみではなく中小資本も含め,紙・パルプ産業が集積している。これらの地域では家庭紙を製造している中小資本による古紙パルプ製造の協同化による古紙処理技術の高度化や,在来技術の改良・環境規制への対応を通じて原料古紙の多様化を図る例がみられる。しかし,これら中小資本の製品は,市場では様々なマーケティング戦略によってシェア拡大を目指す独占資本の製品との厳しい対抗関係にあり,その市場シェアは年々低下してきている。これら中小資本の中には,「古紙利用」をキーワードにしてグリーン・マーケティングによって販路拡大を目指す動きもみられる。家庭紙を製造している中小資本は,古紙再生技術など重要な生産力的役割を担っている一方で,総体的に見ると経済的には厳しい状況に置かれている。
- 林業経済学会の論文
- 1999-03-20
著者
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