紙・パルプ資本による古紙消費の構造と古紙回収業者の実態
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概要
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本稿は,紙・パルプ資本による古紙消費構造と,それを支える古紙流通構造を分析したものである。現在,古紙は製紙原料の約半分を占め,原木と並び紙・パルプ資本にとっては重要な原料となっている。新聞,雑誌,段ボール古紙の「裾物三品」は,主として再び新聞,段ボールとして用いられる。また,家庭紙や印刷用紙向けには上物の中でも「模造・色上」が用いられる。リサイクル意識の高まり等から裾物三品の回収が増加したが,消費増には技術的な困難があり,裾物三品の余剰問題が顕在化した。一方,古紙余剰下で古紙価格は過去最低となっており,古紙回収業者は長時間労働による古紙扱い量増で何とか経営を維持している。直納問屋も紙・パルプ資本の古紙買入価格が下がり,ほとんど利潤が出ない状態になっている。紙・パルプ資本はさらに安価な古紙を求めて古紙輸入や,古紙回収・分別コストの行政負担を求めている。現状では古紙リサイクル構造の矛盾が末端の回収業者等に集中してあらわれており,古紙回収・分別の社会的コストが回収業者の長時間労働によって支えられている。
- 1998-03-20
著者
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