作業所における自閉症者と仲間との社会的相互交渉を促進する試み(実践研究特集号)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
共同作業所に通う、寡動傾向が強く仲間との関わりも少ない22歳の成人自閉症者を対象として、作業場面への介入による知的障害を持つ仲間6名との相互交渉の促進を試みた。その結果、ペアを組んで作業を行うことやペアの仲間に作業に対する援助手続きを教示することによって、作業内容に関連しない仲間からの働きかけや作業場面以外での援助などが見られるようになった。援助手続きの教示は、ペアの仲間よりもペア以外の仲間に対して効果的であった。また、対象者も各々の仲間に応じた関わり方を見せるようになり、作業時間の中で関わり合う経験が、その他の場面での相互交渉を発展させる契機となり得ることが明らかにされた。しかしながら、介入を止めると相互交渉は減少し、継続的な援助や環境設定の必要性が示唆された。また、仲間が興味を示した援助手続きを用いたことも相互交渉の促進要因であることが推察され、それぞれの実践現場に応じた探究が望まれる。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1997-03-31
著者
関連論文
- 発達障害のある子どもの対人関係支援法の探求(2) : 情動認知から支援へ(自主シンポジウム21,日本特殊教育学会第46回大会シンポジウム報告)
- 年長自閉症児の表情認知・表出に関する実験的研究
- 作業所における自閉症者と仲間との社会的相互交渉を促進する試み(実践研究特集号)
- 常同行動の激しい重度精神遅滞児に対するかかわり方の工夫について(実践研究特集号)
- 知的障害者通所更生施設における行動障害を示す成人自閉性障害者への取り組み