年長自閉症児の表情認知・表出に関する実験的研究
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概要
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自閉症の社会性障害のメカニズム解明の一端として,12歳から18歳までの年長自閉症児22名を対象に表情図及び表情写真の認知能力や基本的な表情の表出能力について実験的検討を行ったところ,自閉症児群には次のような結果が認められた。1)対照群であるMAをマッチングしたダウン症児群よりも基本的な表情の認知・表出能力が全般的に低かった。2)怒りの表情を喜びに分類するエラーが多く認められ,部分的な顔面特徴に基いて反応していることが示唆された。また,このエラーは自閉症的行動特徴を多く示す群に多発していた。3)"泣いた"顔の判断の好成績とは対照的に,"悲しみ"の表情の認知や同一感情カテゴリーに属するものとしての"悲しみ"と"泣く"の意味的関連性の理解などに問題を有する可能性が示された。4)視覚的手がかりによる表情模倣が困難な一群が認められた。5)表情認知・表出能力と言語能力及び社会生活能力の対応関係が示された。
- 1989-12-28
著者
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