重症心身障害者の出生から32歳までの発達的変動
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概要
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重症心身障害の中でも、とりわけ重い重症心身障害の一成人の出生から32歳までの日常生活面や探索・操作面での発達的変動を縦断的に詳細に検討してみると、発達指数面では生後3ヵ月時の16.0から28歳時の1.10へと激減しているが、28歳から32歳までは、1.10から1.58へと僅かではあるが徐々に増加している。しかし発達年齢面では、途中多少の落ち込みは見られる(21歳時の5.4ヵ月から27歳時の3.8ヵ月へ)が、生後3ヵ月時の0.5ヵ月から32歳時での5.9ヵ月へと確実に上昇している。しかも、特に28歳から32歳までは、姿勢や手での探索行動、さらに、応答反応面において発達年齢では前者時での3.9ヵ月から後者時での6.0ヵ月へと上昇し、また発達指数でも1.15から1.56へと経年的に増加していることが認められた。結論的には、こうした極めて重度の重症障害者のすべてを発達しないと断言することはできないということであり、従来言われてきた多くの知見(経年的に重度・重症化する)とは多少異なる個別的事実が示された。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1993-03-31
著者
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