健常児・遅滞児における追視時衝動性眼球運動の特性

概要

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精神発達遅滞児(以下、遅滞児)の衝動性眼球運動について二次元8方向、視角7゜の位置へステップ状に移動する視標を用い、移動特性とその時間的特徴を検討した。13歳から15歳の健常児10名、遅滞児10名を対象とした。視標追跡の様相に従い、EOGをA:正確な追跡、B:overshoot、C:undershootなどに分類し、追視が成立していると思われるパターンを中心にその時間特性を検討した。健常児では95%で追視が成立しており、視野上方へのovershootが多く、それ以外の位置へは視標によく同期した移動が多かった。いずれのパターンの場合も、立ち上がり潜時は160msで有意差がなく、いわゆる反応時間のプロセスに類似した過程であろうと思われた。移動時間はA、B、Cの順に時間が延長した。遅滞児では、追視が成立するのは約50%で、追視に正確さを欠き、特にundershootが多く、また立ち上がり潜時が健常児に比べ約40ms遅れることなどから視覚的空間定位の困難さが認められた。
日本特殊教育学会の論文
1987-09-14