聴覚障害児の系列視記憶における情報検索の手がかりの発達的変化について
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概要
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本研究は、聴覚障害児の系列視記憶における情報検索の手がかりの発達的変化を明らかにしていくためにプローブ法を採用し、前研究の結果を更に明確にするために実験がなされた。前研究において示唆された、(1)記銘時における文脈を検索の手がかりとして情報を引き出す際の問題、(2)記銘材料の関係づけの基礎となる手がりの問題等が中心課題とされた。そのためにプローブ法の型によるストラテジーの要因と記銘課題に関する要因が導入され、聴覚障害児と健聴児の小4から小6の児童を対象に実験がなされた。その結果、(1)聴覚障害児が先行項目を手がかりにそれを反応項目に連合するようなストラテジーを用いることは健聴児よりも劣り、かつ、発達的変化も認められない、(2)聴覚障害児は、系列位置を手がかりとする点においても健聴児より劣る、(3)項目と位置を手がかりとする場合においても、聴覚障害児は、体制化条件で健聴児よりも劣っていた。これらの結果は、前研究の結果とは矛盾しないものであった。両群の成績の差異は、聴覚障害児が項目間の機能的な関係を明確に認知しておらず、系列刺激に対する有利なストラジーを用いていないこと、及び両群における記銘材料の関係づけの基礎となる手がかり・知識の差異によるものと考えられた。今後は、教示による被験者の学習の構えといった点や体制化条件における意味記憶の手がかりについて検討することが課題とされた。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1981-03-30
著者
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