外側膝状体における左右眼相互抑制が皮質受容野の形成に及ぼす影響
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概要
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左眼または右眼からの入力を受ける外側膝状体(LGN)細胞間には抑制結合が存在するが、この抑制性の相互作用によって網膜に由来するLGN細胞の神経活動が修飾されていると考えられる.本研究では、LGN-視覚野間の神経ネットワークの自己組織化モデルを用いて、LGNにおける抑制性の相互作用が皮質細胞の受容野形成にどのような影響を及ぼすかを調べた.その結果、抑制性の相互作用が低い場合には、右眼と左眼の受容野のオン(オフ)サブ領域が重なった受容野が形成され、受容野中心の位置もほぼ一致していた.それに対して、抑制性の相互作用を高くすると、左右眼の受容野の対称性が異なる細胞や、受容野中心の位置が異なる細胞が形成されることがわかった.これらのシミュレーション結果は、両眼視差をコードする皮質受容野の形成にとってLGNにおける抑制性結合が重要であることを示唆している.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 2008-03-05
著者
-
田中 繁
理化学研究所脳科学総合研究センター
-
菊地 江利菜
国立沼津工業高等専門学校制御情報工学科
-
宮下 真信
国立沼津工業高等専門学校制御情報工学科
-
田中 繁
理化学研究所
-
宮下 真信
国立沼津工業高等専門学校制御情報工学科:理化学研究所脳科学総合研究センター
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