地球温暖化研究における野外操作実験の現状と課題
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概要
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森林生態系におけるC0_2濃度上昇は主に葉の光合成や呼吸などの植物の生理活性への影響について研究されてきた。一方、地球温暖化による温度上昇は高緯度になるほど高くなり、様々な生態系プロセスに影響を及ぼすことが指摘されている。つまり、温暖化に対する生態系の応答は異皆既が非常に高く、直接及び間接効果となって複雑に働く可能性がある。野外操作実験は生態系のある一つの要因を変化させることで、生態系全体の応答をみる手法である。その応答は直接及び間接的な影響の結果である。これまで中心的に行なわれてきた室内実験や数理モデルでは解明できない新しい知見を得るには、この操作実験を試みることが必要だろう。近年、世界各地において温暖化に関する操作実験が行われるようになってきた。この総説では温暖化の森林生態系への影響に関して、1)まず温暖化の間接効果と異質性について説明を行った。次に、2)世界各地で行われている多様な操作実験を紹介するとともに、これまでに得られた結果を統合して地球規模での温暖化の影響パタンを見た。また、3)将来の操作実験で行うべき方向性を探り、最後に、4)現在北海道大学苫小牧研究林で行っている操作実験を紹介した。これら操作実験による結果は、これから猛スピードで起こる温暖化への対策を講じるために是非とも必要なものになるであろう。
- 日本生態学会の論文
- 2008-05-30
著者
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日浦 勉
北海道大学北方生物圏フィールド科学センター苫小牧研究林
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日浦 勉
北海道大学農学部附属演習林中川地方演習林
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中村 誠宏
北海道大学苫小牧研究林
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中村 誠宏
北海道大学低温科学研究所
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奥田 篤志
北海道大学苫小牧研究林
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日浦 勉
北大 北方生物圏フィールド科セ 苫小牧研究林
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日浦 勉
北海道大学中川地方演習林
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