攪乱が植物上の昆虫群集に与える間接効果(<特集1>生物間相互作用と群集構造:生態化学量論、間接効果、そして進化)
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概要
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撹乱は、直接効果だけでなく相互作用の連鎖によって生じる間接効果でも生物の密度・行動・生存率・分布などに大きな影響を与える可能性がある。その一つは、撹乱後に生き残った植物の表現型の変化によって生じる間接効果である。特に、パイオニア植物では撹乱後に幹から萌芽枝を伸ばす補償生長が起こる場合が多く、補償生長によって間接効果が引き起こされることが知られている。そこで、本稿では撹乱後の植物の変化として補償生長に注目し、撹乱が植物上の昆虫群集へ与える間接効果の研究について解説(紹介)を行った。撹乱による間接効果に関して、これまでに次の3つの成果がある。(1)植食性昆虫の密度にプラスの間接効果を与えること、(2)上位の栄養段階にある捕食性節足動物の密度に影響が及ぶこと(ボトムアップカスケード)、(3)植食性昆虫や捕食性節足動物の種数に影響を与えることである。しかし、これまでの研究では、撹乱後1-2年の短期的な調査に基づくものがほとんどで、「その間接効果の影響力が続く期間」については明確にされてこなかった。今後、撹乱による間接効果の重要性を正しく評価するためには、長期調査を行うことが必要であろう。
- 日本生態学会の論文
- 2005-12-25
著者
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