年輪幅から高知県の10月の最高気温の空間分布を復元する試み
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概要
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高知県内の3箇所の官公署に展示されている年輪試料の年輪幅年々変動に基づき,高知県の10月の10年間平均最高気温空間分布の復元を試みた.復元では,まず1941〜64年の24年間について,年輪幅と最高気温との関係式を作成し, 1929〜38年の10年間について復元結果の検証を行った.その結果,気温実測値と復元値との比較で,本山で両者の間に1.6℃の差がみられたものの,他の地点では両者の差は1.0℃以内であった.また,気温実測値の空間分布と復元値の空間分布は類似する傾向にあった.本山に関しては観測点の移設による影響が大きいと考えられ,移設の影響を除去すると復元結果はおおむね妥当なものと判断される.次に,作成した関係式を用いて, 1800年から1899年について, 10年平均の復元気温分布図を作成した.得られた気温分布図は,沿岸部の須崎が最も高温に,内陸部の本山,檮原および南東部の室戸が低温になる気温分布を示していた.以上の結果より,気象観測点から離れた場所に生育している樹木の年輪試料を用いた気温空間分布復元は,可能であると考えられる.
- 2008-04-30
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