コスモスからピュシスへ : 人類学的近代論の試み
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概要
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この論文の目的は三つある。第一に、ボランニーの「離床」議論を経済のみでなく他の領域に適用して、伝統から近代への展開を描くころ、第二に、それらの「離床」の議論を言語論的に翻訳すること、そして、第三に、スーパーヴィーニエンス(依存)の議論を導入して、ある種の離床に現れる誤謬を指摘すること、である。はじめに、四つの離床が描かれる。自然の生活世界からの離床、個人の共同体の離床、身体の人格よりの離床を経て、最後に経済の社会からの離床をもって近代が完成する様子が描かれる。続く章では、離床を言語論的に翻訳する。経済の離床では、市場述語と贈与述語の分離が、自然の離床においては第一述語と第二述語の、個人の離床においては個人述語と社会述語の、そして身体の離床では物理述語と人格述語の、それぞれの分離が指摘される。最後の章では、離床を強い離床と弱い離床とに分類し、強い離床が還元であることが示される。そして、還元と依存(スーパーヴィーニエンス)の区分が導入され、強い離床論者は還元と依存を混同する錯誤を犯していることが指摘される。
- 日本文化人類学会の論文
- 2008-03-31
著者
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