未開の人格、文明の人格(<特集>危機に瀕した人格)
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概要
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この論文は、人格の人類学(あるいは人の概念の人類学)の中で、鍵となってきたいくつかの民族誌的事実の新しい理解の仕方を提供することを目標とする。問題となる民族誌的事実とは二種類ある-ひとつは、「空っぽの人格」と名づけうる群である。たとえば、『ド・カモ』に描かれたニューカレドニアの人々、ニューギニアのガフク・ガマ、そして、ロザルドウによって「責任観念をもたない」と記述されたイロンゴット、これらの報告である。もう一つは、「空っぽの人格」民族誌の一種であるが、とくに「動機の不在」を強調する報告群である。サモアそしてカルリ等の民族誌を挙げることができるだろう。論文の提供する結論は次のようなものである-これらの特異な民族誌的状況は、決して、当該の「文化」が(われわれに理解不可能なような)特異な人格概念をもっているからではなく、彼らの会話状況の分類の仕方が(われわれに理解可能な程度において)違っているからだ、ということである。
- 日本文化人類学会の論文
- 2002-06-30
著者
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