合成化学産業労働者におけるアレルギー性疾患の有病率

概要

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合成化学産業労働者における職業性アレルギー性疾患の存在を推測することを目的として,健康管理の課題を明らかにするために断面的に収集された既存の健康調査資料を用いて,(1)アレルギーに関連する疾患に罹患した経験の有無の訴えからそれぞれの年間有病率を推定し,(2)職種からみた暴露危険度や取り扱い物質との関連を検討した.1)その結果,「アレルギー」の年間有病率は2.8〜3.4%,「喘息」のそれは1.0〜2.0%,「皮膚疾患」のそれは6.0〜9.2%であり,「アレルギー関連疾患有病率」は9.0〜13.2%であった.2)暴露危険度の最も大きい群では,そうでない群に比較し,「喘息」,「皮膚疾患」の年間有病率が有意に高率であった.取り扱い物質別にみたアレルギーに関連する疾患の年間有病率は,「アレルギー」では合成樹脂,塗料,フィルム,チタン,医薬品のそれぞれの取り扱い作業者群で,「喘息」では化粧品,合成樹脂,肥料のそれぞれの取り扱い作業者群で,それぞれ有意に高率であった.また「皮膚疾患」では化粧品,塗料,染料,合成樹脂,有機溶剤取り扱い作業者群で有意に高率であった.さらに,「アレルギー関連疾患有病率」は化粧品,合成樹脂,染料,有機溶剤取り扱い作業者群で有意に高率であった.以上から,特定の物質製品を取り扱う作業者群でアレルギーに関連する疾患の年間有病率が有意に高率である場合に,罹患経験者の中に職業性アレルギーの含まれる可能性のあることを推測し,詳細な検討の必要なことを述べた.
1987-09-20

合成化学産業労働者におけるアレルギー性疾患の有病率

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