「教育介入に対する応答(RTI)」と学力底上げ政策:合衆国におけるLD判定方法に関する議論と「落ちこぼし防止」法
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概要
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アメリカ合衆国の障害児教育の分野では、「教育的介入に対する反応(RTI)」に注目が集まっている。アメリカ合衆国の多くの州で、学習障害(Learning Disabilities)の判定方法として採用されてきたのは「ディスクレパンシィ・モデル(discrepancy model)」といわれるものである。だが、そのモデルは、多くの関係者から妥当性が疑問視されてきていた。そうした背景のもと、「個別障害者教育法(IDEA)」(2004年)の「施行規則」改定にあたり、LD判定をRTIに基づいて行うことができるとされたことで、RTIがLD判定の方式として妥当なものなのか否かが論争になってきている。本稿では、比較的多くの関係者の推奨するRTIの一方法としての「3層構造論(A three-tier RTI model)」を紹介しながら、それがLD判定方法になりうるのかを検討する。また、ブッシュ政権下で展開されている「2001年初等中等教育改正法(NCLB法)」(=落ちこぼし防止法)との関連で、RTIがいかに機能するのかも批判的に検討する。
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