肺臟に於ける實驗的動脈硬化症特に象形複成模型による立體的研究 : 第1編 アドレナリン動脈硬化症に就て
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概要
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動脈硬化症の發症に對し血管の局所要約が極めて重大なる役割を演ずるものなることは學者の等しく認めるところである.即ち立體的觀察の重要なる所以である.余は我が教室に於ける年来の主要研究題目たる"動脈硬化症の蜜腺的研究"の一端として従来この方面の文献乏しき肺臟に於ける動脈硬化症を立體的に研究し第一編としてアドレナリン處置群に於ける論説を進めたのである.即ち動脈硬化症催發處置としてアドレナリン連續注射を施行せる家兎肺臟に就き之を象形複式模型として觀察し凡そ次の如き事實を明らかにした.1.アドレナリン連續注射を施行せる家兎肺臟動脈は種々の程度のアドレナリン型硬變性變化を惹起する.即ち中膜の筋性肥厚,内膜の肥厚,變性それであか但し外膜は全經過を通じて概して硬變性變化に對し著しい反應を示さないよでうある.2.アドレナリン型硬變性變化の發現増強は常に血管自體の立體的局所的要約に支配される,換言すれば血流による力學的影響の甚大なる部位に發現する.具體的に言えばイ.血管彎曲部凸面側而も概して屈曲度強き部位程強く發現する.ロ.血管分岐點に於ては常により強く發現する,之を詳言すれば.アドレナリン型硬變性變化は分岐點前分岐脚内股側下方(分岐點迄の距離は硬變度強き程遠い)より次第に分岐點内股側に及び分岐完了すれば概して直に消失する.而して分岐大分枝の内股側により強く發現するのを通例とずる.3.アドレナリン連續注射により家兎肺臟動脈管には動脈瘤が多發する傾向がある。その部位は主として中等大以下の細小動脈で,その發生率と硬變度とは必しも平行しない.
- 社団法人日本循環器学会の論文
- 1950-01-20
著者
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