東北アジア海域におけるアイヌと先住民交易 : 北海道、アムール・樺太、チュコトカの地域史比較にかかわる研究動向展望
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
北方先住民交易史に関わる近年の文献史学及び人類学研究動向について展望する。特に18-19世紀における北海道及び樺太先住諸民族の経済活動の意義を、日本海・オホーック海・ベーリング海にひろがる形で構成される東北アジア海域という参照枠組みにおいて再考することが目的である。従来、蝦夷地近世史における場所請負制の問題は日本史、アムール・樺太先住民交易史およびベーリング海峡交易は人類学、といった専門領域毎に扱われてきた。これらの歴史叙述を、先住民と国家との関係性という観点において翻訳=再記述・比較検討し、さらに当時の国際関係をも視野にいれることで、先住民交易の発展と衰退の特徴を浮き彫りにする。19世紀の北太平洋世界においては、近代国家による「領土化」過程が最後の段階を迎えるが、当時の日露関係はそうした文脈にある。この二国家間の「境界」領域に暮らす先住民の社会変化の文脈を再定位すると同時に、領土化の背後にある両国家の経済・戦略資源を分析する上で、東北アジア海域という地域概念の設定が有効であることが明らかにされる。
- 2007-03-30
著者
関連論文
- コメント2 : 「単体主義」の可能性(「グローバリゼーション」を越えて)
- オセアニアでの多様な観光 (現代社会と先住民文化--観光、芸術から考える(1)) -- (質疑応答および討論について)
- トナカイ! トナカイ!! トナカイ!!!--研究成果を市民に還元する自主展示の試み
- 都立大・社会人類学研究室の大塚先生(大塚和夫氏追悼)
- 東北アジア海域におけるアイヌと先住民交易 : 北海道、アムール・樺太、チュコトカの地域史比較にかかわる研究動向展望
- 岸上伸啓編, 『極北』(世界の食文化(20)), 東京, 農文協, 2005年3月, 252頁, 3,200円(税込)
- じんるいがくフェスティバル : 2010年度第二回東北地区研究懇談会報告
- エヴェンキ--トナカイ飼育の崩壊と狩猟への転換 (特集 ロシア北方の民--ソ連崩壊後の激動期を経て)
- 1920〜1930年代におけるサハの知識人と民族学的研究 : ロシア民族学史における断章
- エヴェン民族自治郡の形成とサハ共和国 : シベリア・北部ヤクーチア住民の社会主義経験
- ジェームス・フォーシス著(森本和男訳), 『シベリア先住民の歴史 : ロシアの北方アジア植民地 一五八一-一九九〇』, 彩流社, 一九九八年
- レーニントナカイと個人トナカイの間で : 東シベリア・ベルホヤンスク地域における家畜トナカイの分類・識別・所有をめぐる考察 (ユーラシア遊牧社会の歴史と現在)
- 脱社会主義下のトナカイ飼育業の再編 : 東シベリア・北部ヤクーチアの一地域社会の変容過程(シベリア研究の課題と現在)
- 角の民族誌--東シベリア,サハ共和国のトナカイ飼育民
- 佐々木史郎著, 『北方からきた交易民-絹と毛皮とサンタン人』, 初版, 東京, 日本放送出版協会, 1996年, 280頁, 1,100円
- ギリヤーキからニヴヒへ : 民族呼称の成立に関する一考察
- Developing a Landscape:Toward comprehending the diversified practices of the peoples in Northern Yakutia,Siberia (第13回北方民族文化シンポジウム報告 北方の開発と環境)
- 焼き印、あるいは淘汰される馬--シベリア、北部ヤクーチアの馬飼育における「馬群」再生産過程とその管理