イネ葯培養における高い再分化能力を持つ「こころまち」と「たきたて」の系譜的考察(II 論文編)

概要

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葯培養は水稲品種の開発期間を短縮する有効な育種法であるが,緑体再分化率(以下再分化率という)及び染色体倍加率(以下倍加率という)の向上が長年の課題である(大槻ら1989,松永1989,佐竹1999).倍加率は木内ら(2000)の方法により徐々に向上しているが,再分化率は,培地組成等の培養方法の検討によっても飛躍的向上は図られず,特に「コシヒカリ」系譜の品種・系統を利用した場合に再分化率の低さが良質良食味・耐冷性育種の大きな障害になっている.佐々木(1986)は,葯培養における再分化率の高い品種の系譜を明らかにしたが,その後に育成された品種については未解明であった.古川農試で実施した葯培養の組合せのうち「こころまち」や「たきたて」を片親とした場合に再分化率が高いことから,高再分化能力は両品種に由来すること予想された.そこで,前報(2005)では「こころまち」の再分化率が高いことを確認し,高再分化能力が「旭(朝日)」に由来することを明らかにした.一方「こころまち」の後代系統や「たきたて」の系譜については未確認であったので,それぞれの系譜の品種・系統の再分化率を調査した結果,高再分化能力の由来と後代への遺伝が明らかになったので報告する.
2007-12-28