体験がもたらす「知」 : 生活科の教科特性と体験を通して学ぶ意味
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概要
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小論において示された生活科の教科特性は次の3点である。①教科の学問的背景をもたないこと。②学習者自身を学習対象とすること。③体験や活動を通すことによって学習が成り立つこと。また、生活科における体験が価値あるものとして機能し、価値ある「知」をもたらすための条件と学習指導上の留意点についても、次の3点が明らかになった。①生活科の体験は、能動的・主体的なものでなければならない。それによって達成感を伴った生きる自信を子どもの内面に育てることができる。そのためには、子どもにとって活動や体験の目的が明確でなければならない。②生活科の体験は諸感覚や身体をフルに用いたものでなければならない。それによって実感や納得を伴う学習が確保できる。しかし、身体性の強い活動であるだけに個別的・特殊的な「知」になりやすい。一人一人の気付きをクラス全員の気付きにまで高めるような手だてが必要である。また、教師は、個別の経験知と客観的な科学知との往復運動が可能な学習活動を展開しなくてはならない。③生活科学習の中にグループによる体験活動を仕組むことによって社会性・強調性をはぐくむことができる。特に、活動のプロセスを重視する「協働学習」を取り入れることで、子ども同士の思考力を高めたり、コミュニケーション能力を高めるグループ活動にできる。 The subject characters of Life Environment Studies are as follows.1. Life Environment Studies is the subject without academic background.2. The object of study in Life Environment Studies is learners themselves.3. Life Environment Studies is practised through activities and personal experiences.Teachers must take attention to give the value of personal experiences in Life Environment Studies as follows.1. The personal experiences in Life Environment Studies must be active and autonomic, and so learners can obtain 'zest for living'. For this object, the aime of activities must be clear.2. The personal experiences in Life Environment Studies must be practised through all sensies and the whole body, and so learners can obtain the reality and the true understanding. For this object, teacher must give learners the chance of study to go and return between subjective awareness and objective understanding.3. In Life Environment Studies, we can educate sociality or cooperativeness through group activities. Especialy through collaborative studies, we can develop communication competencies in learners.notes: 'zest for living' is quoted from "MONBUSYHO News/Program for Educational Reform (Revised on August 5, 1997)"
- 上越教育大学の論文
- 2008-02-28
著者
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