ダイオキシン類濃度が大きく異なる土壌で栽培したコムギ茎葉中のダイオキシン類濃度の比較
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概要
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過去のCNPおよびPCP製剤使用履歴の違いにより土壌中の総ダイオキシン類濃度が150,000(H区)および2,700pg g^<-1>(L区)と大きく異なる近接する2筆の圃場で栽培したコムギ茎葉中のダイオキシン類濃度とチタン濃度を調査し,茎葉に付着した土壌由来のダイオキシン類の寄与率を求め,土壌中のダイオキシン類濃度が茎葉中濃度に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.H区とL区の土壌中濃度の差が大きかったPCDDs(特に,1,3,6,8-TeCDD,1,3,7,9-TeCDDおよびOCDD)濃度は,茎葉全体と露出部(葉身・葉鞘・露出した茎)ではL区よりH区で高かったが,非露出部(葉鞘で覆われた茎)では区によらず同程度であった.これより,L区よりもH区の土壌中のPCDDs濃度が著しく高かったことが,両区で茎葉中のPCDDs濃度が異なった主要因と考えられた.土壌と茎葉の各異性体濃度比から,土壌中よりも茎葉中には比較的揮発性の高い置換塩素数の少ないPCDD/Fsの異性体の存在割合が高かったことが示された.茎葉に存在したダイオキシン類量に対する付着土壌に由来するダイオキシン類量の寄与率は全体では0.7〜12%と低かったが,置換塩素数が多い異性体ほど寄与率は高く,H区では茎葉中に含まれたOCDDおよびOCDFのほとんどが付着土壌由来と見積もられた.逆に,茎葉や土壌中濃度が高からた1,3,6,8-TeCDDおよび1,3,7,9-TeCDDの付着土壌の寄与率は非常に低く,置換塩素数の多い異性体に比べて飽和蒸気圧が比較的高いこれらの異性体は,少ないながらも土壌から大気へ揮発し,茎葉中の濃度に影響を及ぼしていた可能性が考えられた.本試験は一事例に過ぎないが,過去にCNPおよびPCP製剤を使用した水田土壌のように,土壌中のダイオキシン類濃度が著しく高い場合は,そこで栽培した植物地上部のダイオキシン類濃度は土壌中濃度の影響を強く受けていたことが示唆された.
- 社団法人日本土壌肥料学会の論文
- 2007-02-05
著者
-
土屋 一成
九州沖縄農研センター:(現)東北農研センター
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土屋 一成
九州沖縄農業研究センター
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土屋 一成
現九州農試
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上垣 隆一
農業環境技術研究所
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草 佳那子
九州沖縄農研センター:(現)中央農研センター
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草佳 那子
九州沖縄農業研究センター:(現)中央農業総合研究センター
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森泉 美穂子
九州沖縄農業研究セソター
-
土屋 一成
(現)東北農研
-
森泉 美穂子
農業・食品産業技術総合研究機構中央農業総合研究センター
-
森泉 美穂子
中央農業総合研究センター
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草 佳那子
九州沖縄農業研究センター
-
森泉 美穂子
(独)農業・食品産業技術総合研究機構中央農業総合研究センター
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