セグメント別財務報告基準の国際的コンバージェンス:報告対象セグメント識別基準をめぐって

概要

我が国のセグメント情報は、1990年より連結財務諸表の注記情報として開示が制度化され、1998年度の全面適用により、我が国のセグメント会計基準の国際的調和を達成することができたといえる。しかし1997年に米国財務会計審議会(FASB)は、従来の基準であるSFAS第14号「企業のセグメント別財務報告」を改訂するSFAS第131号「企業のセグメント別情報ならびに関連情報の開示」を公表した。さらに、同年8月に国際会計基準委員会(IASC)は、IAS第14号「セグメント別財務情報の報告」を抜本的に見直したIAS第14号(改訂)「セグメント別報告」を公表し、さらにIASCを引き継いだIASBは、2006年にIFRS第8号「「オペレーティング・セグメント」を公表し、SFAS第131号とのコンバージェンスを達成した。そのため、我が国のセグメント会計基準と米国およびIASBとの基準間で新たな差異が発生したのである。我が国も本年9月に、企業会計基準公開草案第21号「セグメント情報等の開示に関する会計基準(案)」を公表し、国際的コンバージェンスを図っている。本稿では、セグメント会計基準の国際的コンバージェンスの方向と問題点についてセグメンテーションに焦点をあてて検討している。従来の産業セグメント・アプローチに代えて、マネジメント・アプローチを導入するということは、単にセグメンテーションの変更のみならず、セグメント情報の目的も、企業経営の多角化、グローバル化の状況を明らかにするという観点から、企業の過去の業績を理解し、将来キャシュ・フローの予測を適切に行うために、企業を構成する事業活動単位の状況を明らかにする分割情報を提供することへという開示目的の変化も意味している。国際的潮流であるマネジメント・アプローチを我が国に導入するにあたり、完全事業部制等の会社組織形態であればスムーズに対応することも実務上可能であるが、我が国に多いとされる職能別組織等他の形態を採用している場合、実務上の多くの困難を伴うことが予想される。会計基準設定において、国際的コンバージェンスへの配慮と我が国の独自性との間でいかにバランスを保つのかという課題が残されている。

著者

東原 英子 摂南大学経営情報学部

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