幕末期京都の人口構造とライフコース
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概要
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幕末期の京都人口について、15の町の宗門改帳を用いることにより、人口構造とライフコースの分析を行なった。町ごとに見ると、世帯の大きさや性比に大きな違いがあったが、その違いは奉公人がどれだけ雇われているのか、また奉公人は男子が多いのか女子が多いのかという点によることがわかった。出生率を示す指標としてchild-woman ratioを計算すると農村の平均値よりも高い値が算出された。つまり、近世京都の出生率が予想に反して高かった可能性が示された。世帯構成の特徴は、早くから奉公を始めるため世帯内の子供数が少ないこと、また、嫁・婿というカテゴリーが農村に比べ非常に少なかったことである。ただし、父・母のカテゴリーの大きさにはあまり違いが見られないので、直系家族システムを取りつつも一時的な別居志向があったこと、あるいは隠居年齢が低かったためであると考えられる。
著者
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