近世京都の奉公人について : 長期趨勢と人口プロファイル
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概要
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近世商家の住込奉公人(丁稚や手代)は幕末になるとほとんどの都市であまり姿を見なくなるが、京都は大坂とともに住込奉公人を抱える雇用形態が一貫して続く例外的な都市であった。しかし、京都の4つの町をサンプルとして近世後期における奉公人人口の趨勢を細かく見ると、天保クライシス期のゆるやかな減少、1850年代の回復、そして開港や元治大火の影響を受けた1860年代における明瞭な低下という変化が認められ、住込奉公人の雇用が経済変動によって調整されていたことがあきらかになった。また、史料の残存状況が良好な下京・西堂町では、男子は数え年13歳前後で奉公を開始し18歳前後で2割弱が手代へするという昇進パターンが見られる一方、女子は1-2年単位の短年季奉公が中心であった。奉公人を出身地別に見ると、遠方の出身者の方が手代への昇進率は高かったが、昇進できない場合でも京都に留まって奉公を続ける傾向が見られた。
- 2006-03-10
著者
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