金融サービスと顧客満足 : 日本の金融サービス業のCS活動を中心に
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概要
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日本の銀行等の金融サービス業は、これまで厳しい金融規制の中にあって、金融商品やサービスに対してかなりの制約のもとでの行動を余儀なくされてきた。それは他の産業界と異なり、自由競争に基づく市場原理がはたらく世界ではないことから「マーケティング」あるいは「マーケティング戦略」なる用語は死語に近いものであり、とりわけマーケティング戦略の中で重要な役割を担うCS(顧客満足度)調査等の活動も当然のことながら軽視される傾向にあった。バブル崩壊後、金融自由化が加速化される中、日本版金融ビッグバン、ペイオフ解禁などの金融制度改革が行われてきた。これによって、銀行等の金融サービス業界も遅ればせながら自由競争の世界に入ることになり、他の業界と同じように収益の確保と増加を全面に押し出した経営方針や経営戦略を展開しないと、生き残れない時代となったのである。これはマーケティングあるいはマーケティング戦略を軸とした経営への転換であり、金融サービス業に本格的な「カスタマーセントリック」(顧客中心主義)が到来したことを意味する。海の向こうの米国の金融業界を見ると、金融機関はCS調査等の活動をマーケティング戦略上重要な役割を担うものとして位置付け、その活動を踏まえて個別に戦略的な顧客セグメント化を模索し、その実施・展開を通じて熾烈な競争を行っているのである。そこで本稿では、まだスタートラインに着いたにすぎない日本の金融サービス業の「マーケティング」と「CS調査等の活動」および経営戦略上の橋渡しとなる「ロイヤルティ」を取りあげ、競争下での金融サービス業におけるCS活動への取り組みとその重要性を指摘する。
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