予算動機と日本的予算管理
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概要
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欧米を中心にBBアプローチやABBアプローチが勢いづいているのとは対照的に,日本では必ずしも予算の有用性を疑問視する見方が主流を成しているとはいえない。その理由として,本稿では2つの可能性を提示した。まず,欧米企業では,予算業績が直接報酬につながる仕組みが出来上がっており,そのことが予算スラックや予算ゲームを誘発する要因となっていたことが挙げられる。反面,日本ではマネジメント・コントロールの二分割構造が主流となっており,予算業績が直接報酬につながることは珍しく,むしろ管理会計システムとは切り離された人事管理システムの中で業績と報酬との関係が規定されてきたのである。2つ目は,これまでの欧米の予算管理研究や実務がさまざまな予算動機のうちの1つである「業績評価」動機にのみ集中しており,その他の予算動機がクローズアップされることはあまりなかったということである。反面,日本企業では,「業績評価」動機のみならず「オペレーショナル・プラニング」や「目標のコミュニケーション」動機にも重きが置かれ,予算の業績評価動機のみを重視することによってもたらされる弊害の多くが日本企業では回避ないし軽減できたといえよう。
著者
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