ドメスティック・バイオレンス被害者の医療機関における状況の調査 : 被害者の来院目的,健康問題,医療従事者のDV認知状況

概要

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本研究は,ドメスティック・バイオレンス(DV)被害を受けた女性と遭遇する際の状況の詳細と,DVを受けた女性に生じる健康問題の詳細を明らかにし,医療機関におけるDV被害者への援助のあり方を検討することを目的とした。医療従事者および被害経験を有する女性に対しインタビュー調査を行い,帰納的・質的に分析した。その結果,女性の身体的・精神的双方の健康問題の詳細と,医療従事者がDVの事実を認知する状況の詳細が明らかになった。DVを沈黙していると思われる女性はいるものの,一方で医療従事者の問いかけに対し,DVの事実を告知する女性や,看護師にDV問題を相談する女性もいることがわかった。医療機関はDV被害者の心身双方のケアに加え,被害者が専門支援機関につながるように支援する必要がある。医療従事者は患者との信頼関係を作り,プライバシーを配慮した環境で,患者に対し温かい態度を取ること,患者の話をよく聞き女性の意思決定を支える治療,ケアを実践する必要がある。また,医療従事者と地域住民の密な信頼関係は,わが国のDV解決のための大きな強みとなりうる。