左房粘液腫により僧帽弁狭窄を呈し腫瘍切除後僧帽弁形成術を要した1例
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概要
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症例は58歳,女性.3ヵ月前より労作時息切れを自覚し,心エコーで左房腫瘍を指摘された.腫瘍は心房中隔から発生し広基性であった.また,拡張期に左室へ逸脱し,pressure half timeは415msecと上昇しており,計測上の僧帽弁口面積は0.53cm^2であった.重度の三尖弁閉鎖不全(TR)を認め,僧帽弁狭窄(MS)に伴う肺高血圧を呈していた.手術は軽度低体温完全体外循環を確立し,心停止下に右側左房切開で左房にアプローチした.中隔に付着する腫瘍を完全切除するため心内膜ごと切除した.腫瘍径は52×43mmであった.腫瘍摘出後,僧帽弁の検索を行ったが,弁尖および弁下組織の器質的変化は認めなかった.心内膜欠損部位を直接結節縫合し人工心肺を離脱したところ,中等度の僧帽弁閉鎖不全(MR)を認めたため再度心停止を行い人工弁輪による弁輪縫縮を行った.術後経過は良好でMS,MRともに消失した.腫瘍切除後,心内膜欠損部を直接縫合したことにより僧帽弁前尖がつり上がりMRが生じたものと考えられた.腫瘍摘出後の欠損部の修復,僧帽弁の慎重な検索が重要であると考えられた.日心外会誌37巻1号: 40-43 (2008)
- 特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会の論文
- 2008-01-15
著者
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小林 弘典
労働者健康福祉機購中国労災病院心臓血管外科
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片山 桂次郎
労働者健康福祉機購中国労災病院心臓血管外科
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季白 雅文
労働者健康福祉機購中国労災病院心臓血管外科
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石井 修
労働者健康福祉機購中国労災病院心臓血管外科
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季白 雅文
中国労災病院心臓血管外科
-
石井 修
中国労災病院心臓血管外科
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