筋萎縮性側索硬化症患者の遺族にみられた記憶の断片化
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概要
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本研究の目的は,筋萎縮性側索硬化症の夫を介護し,遺族となった妻にみられる記憶の断片化について検討することである。記憶の断片化とは,記憶を自己のなかに統合できず,その記憶の忘却も再生のされ方も不安定で感覚的,情緒的,無意識的な表れを示すことである。遺族7名に,半構成的インタビューを行い,質的記述的方法でデータ分析した。その結果,<困惑した出来事の反復表現><染み込んで消去困難な出来事><虫食いの時間軸><手に触れ目に焼きついた感覚表現><残務整理という表現>の5つのカテゴリーが抽出された。遺族は,困惑した出来事をリアルに繰り返し語り,特定の記憶へ反省的なまなざしを向けた。その一方で全く思い出せない記憶があった。病歴年表やCD-ROM版の手記作成によって遺族は,物語を再編し自己に統合するきっかけを得ていたと解釈された。看護者には,遺族が過去の体験を語るとき,感情レベルで吐き出せるように励まし,傾聴することが求められる。
- 2007-12-25
著者
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