エチレン系アイオノマーの誘電的性質 : 誘電緩和に対するメタクリル酸含量の影響
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概要
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エチレン・メタクリル酸共重合体(E-xMAA,x=1.3,3.5,5.4,7.5,11.3mol%)のカルボン酸を部分的に中和し,ナトリウム塩あるいは亜鉛塩としたエチレン・アイオノマー(E-xMAA-yM,yは中和度:カルボン酸に対する当量比,Mは金属種:Na,Zn)について,温度範囲100〜400K,周波数域100Hz〜100kHzで誘電測定を行い,以前詳細に研究されているx=5.4mol%のエチレン・アイオノマーと比較し,メタクリル酸含量の違いによる緩和挙動への影響について検討した。その結果,x=3.5mol%以上のメタクリル酸を含むアイオノマーの緩和挙動は基本的にE-5.4MAA-yNa,Znと同様であった。すなわち,亜鉛塩アイオノマーでは未中和のエチレン・メタクリル酸共重合体と同様に180K付近にエチレン鎖の局所分子運動に帰属されるγ緩和が,300〜330K付近に主鎖のミクロブラウン運動に帰属されるβ'緩和が,それぞれ観測された。また,ナトリウム塩アイオノマーではγ緩和が同様に観測されるが,中和度(y)が40%以上となるとイオン凝集体によるミクロ相分離構造が形成により,β'緩和に代わり孤立塩の分子運動に帰属されるβ緩和が300〜330K付近に,約330K付近に存在するイオンクラスターの秩序・無秩序転移温度以上の温度領域に,イオン会合体(イオンクラスター)を含む主鎖の全面的な運動に帰属されるα緩和がそれぞれ観測された。一方,x=1.3mol%のナトリウムアイオノマーでは中和度が60%においてもβ緩和が観測されず,ミクロ相分離構造は形成されない結果を得た。
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