若年女性の骨密度と体組成と生活状況との関連について
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概要
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我が国は高齢化が急速に進み、日本人の平均寿命は年々長くなっている。これに伴い、生活習慣病である骨粗鬆症も年次増加傾向を示している。骨粗鬆症の予防対策は若年時における最大骨量の獲得で、思春期から20代前半は最大骨量を得るための非常に重要な時期であるといわれているので、将来の骨粗鬆症予防の観点から、若年女性の生活習慣が骨密度に及ぼす原因を明らかにする事が重要であるといえる。そこで、本学食物栄養学科の学生102人を対象として、超音波骨密度測定装置を用い、踵骨のSOS:speed of sound (以下、骨密度)を測定した。SOS:1580m/sec.以上を高骨密度群(以下、H群)、SOS:1520〜1579m/sec,を標準骨密度群(以下、M群)、1519m/sec.以下を低骨密度群(以下、L群)に分け、さらに体成分検査を用いて身体状況と骨密度の関係、および若年女性の生活習慣や食生活、運動習慣の有無や肥満が骨密度に影響を及ぼしているかどうかを、明らかにするためにアンケート調査を行い、これらと骨密度との関係性を検討した。その結果、全体について、1,骨密度の結果は平均1560±32m/sec.であり、CM-100によるQUSの基準値とcut-off値による女性20歳〜24歳の平均1540±33m/sec.よりも、20m/sec.高かった。2,骨密度との相関では、フィットネススコアに正の相関がみられた(p<0.05)。3,朝食は毎日食べている者が多かった。4,加工食品と冷凍食品は摂取している者が少なかった。5,喫煙者は少なかった。H群、M群、L群の比較については、1,肥満度とBMIはH群が他の2群に比べ有意に高値であった(p<0.05)。2,L群では1週間に3回しか食べないという者が10%いたが、他の2群にはみられなかった。3,H群は他の2群よりフィットネススコアが有意に高値であった(p<0.05)。4,H群は他の2群より増やすべき筋肉量が少なく有意差がみられた(p<0.05)。5,H群は他の2群に比べ「大豆製品(豆腐、納豆、味噌)」と「乳製品(ヨーグルト、チーズ、牛乳)」を多く摂取していた。6,食生活に関する情報を手に入れるようにしている人はL群よりも他の2群の方が多い傾向であった。以上の事から、女子大学生の骨密度は、食生活や身体状況に関係があると考えられ、今の時期からこれらに気をつけて生活をする事は、骨粗鬆症予防のだけではなく、様々な疾患を予防できると考えられるので、その必要性があると思われる。骨が最も形成される時期に体格・生理・食生活に支障があると、骨量は減少していくと考えられる。骨粗鬆症を予防するためには、日頃から適切な食事・運動・休養を心がけ、骨密度を高める努力をすることが重要である。
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