在宅療養時期の違いによる訪問看護実践の特徴 : オマハシステムを用いた訪問看護記録の分析(第7回聖路加看護学会学術大会)
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概要
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本研究の目的は、「オマハシステム」を用いて訪問看護記録から高齢者介護世帯の在宅療養時期の違いによる支援の特徴を明らかにすることである。高齢者介護世帯100名を対象とし、訪問看護導入後1ヶ月間を導入期、長期化した1ヶ月間を安定期とし、2時期の訪問看護記録における看護上の問題と介入をコード化した。問題別アウトカムは、各期の開始時と1ヶ月後のアウトカムを測定した。データの妥当性、信頼性を高めるためコード化と問題別アウトカム測定を事業所管理者と担当看護婦に確認した。データ分析は問題、介入、アウトカムの記述統計量と両時期の問題と介入の出現にχ^2検定、問題別アウトカムは対応のあるt検定を行った。その結果、問題は導入期に有意差が認められたものは「社会資源」(p<0.001)、「清潔」(p<0.001)、「ケアを行う」(p<0.01)であった。安定期に有意差が認められたものは「身体的活動」(p<0.05)のみだった。介入方法の出現割合は両時期とも「調査・監視」(55%)が多く、直接的ケアである「治療・処置」(20%)、「教育・指導」(15%)が続き、「ケースマネジメント」(5%)は少なかった。導入期に有意差が認められた問題について、「調査・監視」、「指導・教育」、「ケースマネジメント」が有意に多く介入が行われていた。問題別アウトカムでは、大きな改善が認められた問題は、導入期に多かった。安定期は全体的に現状維持の傾向であった。これらから高齢者介護世帯の訪問看護の導入期は、介護態勢の不備による問題が多く出現し、それに対し「指導・教育」、「ケースマネジメント」の積極的な介入を行うことが問題の改善につながっていた。安定期は、高齢者の機能低下に伴う活動低下の問題が出現傾向にあり、「調査・監視」の介入を中心に予防に努め、現状維持の成果につなげていた。今後は、長期化する在宅療養に対しQOL向上のために、地域サービスの充実への働きかけなど訪問看護の充実が望まれる。
- 2002-06-30
著者
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