オーチャードグラス個体の形態的・生理的形質による消化率の推定
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概要
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オーチャードグラス個体の消化率が,圃場で容易に調査できる形質の特性値から推定できないかを調べる目的で,1番草および2番草の成績を用い,消化率を目的変数,形態的・生理的形質を説明変数とする,変数選択型重回帰分析を次の3通りの方法で行った。A:1番草の諸形質による1番草消化率の推定B:1番草の諸形質による2番草消化率の推定C:2番草の諸形質による2番草消化率の推定品種ごとに重回帰分析を行った結果,8品種中AおよびBは6品種,Cではすべての品種で有意な重相関係数が得られた。品種をこみにした758個体の値をもとに,変数増減による逐次選択法で計算した結果,取上げられた形質数はA,B,Cそれぞれ4,6,8であり,その時の重相関係数はR=0.303,0.354,0.372で,いずれも1%水準で有意となった。品種ごとの重回帰式で多くの品種に取上げられた形質,および品種をこみにした重回帰式において標準偏回帰係数の高い形質,の2方向から消化率に影響を及ぼす重要な形質を判断すると,1番草では草型,葉幅および出穂始日であり,ほふく型で葉幅広く出穂の遅い個体の消化率が高い。2番草では草型,罹病度,葉色および各時期の草勢であり,草勢は一定の傾向は認められなかったが,その他の形質では,ほふく型で罹病度が低く葉色の淡い個体の消化率が高い。この試験で得られた重回帰式は,統計的に有意であったが,そのまま利用できるとはいい難く,さらに詳細な形質の調査と再度の重回帰分析により重回帰式を改良すれば,育種の初期段階における消化率に対するスクリーニングに十分利用できる推定式が得られると思われる。
- 日本草地学会の論文
- 1978-10-31
著者
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