林内放牧における肉用牛による野生植物の嗜好性と飼料草としての価値
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
(1)林内放牧における放牧牛による林内植物の嗜好性と,飼料草としての価値を数量的に判定し,林地における牧養力推定の基礎的資料とした。(2)スギ(ヒノキ,アカマツの林分を一部含む)の幼令林内(面積6.49ha,植付4〜6年目,4,500本/ha植付け)における肉用牛(黒毛和種繁殖用雌牛)5頭の放牧において,3か年間,延106ワク(2m×2m)について調査した。(3)全調査ワクにおける延出現種数は63科185種で,そのうち採食されたのは,37科103種(55.7%)であった。(4)新しく考案したところの,採食強度をもとにする嗜好度(仮称)指標で嗜好性を判定すると,サツマスゲ,ススキ,アカソ,オオアブラススキ,ミズギボウシ,アブラススキ,トダシバ,イラクサ,ヨモギ,バアソブ,ノガリヤス,ヒカゲスゲ,ゼンマイ,ヤマグワ等の順に高く,これは採食状況の観察結果とよく一致した。一方,シシガシラ,クロモジ,ヤブムラサキ,サカキ,スギ,ヒノキ,アカマツ等には嗜好性がなかった。(5)嗜好度にSDR_2(現存量指標)を加味した採食度指数(仮称)指標により判定した飼料草としての価値は,ススキが最も高く,アカソ,ゼンマイ,ワラビ,オオアブラススキ,ヒカゲスゲ,ノガリヤス,ヒメカンスゲ,ヨモギ,ヤマグワ,オカトラノオ,ボタンズル,ヤマシロギク等は,補助的な種であった。(6)採食強度は多くの要因で変動したが,中でも放牧強度によってかなり影響され,重放牧化によって多くの種について増加した。また,植物の生育ステージでは,6〜7月の草生旺盛期に比し,9〜10月の草生衰微期には一般的に嗜好度が低下した。
- 1973-07-25
著者
関連論文
- 林内放牧における肉用牛による野生植物の嗜好性と飼料草としての価値
- 四国地域におけるステビアの栽培に関する研究 : 第8報 株の越冬条件と越冬率
- 四国地域におけるステビアの栽培に関する研究 : 第5報 花芽分化要因について
- 四国地域におけるステビアの栽培に関する研究 : 第3報 挿木による苗増殖法
- 大豆さび病に関する研究 : 第1報 品種の抵抗性について
- 大豆銹病に関する研究 : 第1報 品種の抵抗性について(第5回講演要旨)
- 畑地雑草の生態に関する研究 : 雑草群落の構成種・生活型の季節的消長および冬生雑草の生活環の連続について
- 29. 耕地雑草群落調査における標本面積の大きさについて