鑑賞学実践研究16 : ジョット作《哀哭》
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概要
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本鑑賞授業実践は、中学校高学年(中学2~3年生)を対象にした教材開発とその授業実践結果の分析を内容としている。鑑賞課題作品として、ジョット作《哀哭》を選んだ。本鑑賞学実践研究は、中学生には比較的なじみのないプロト・ルネサンス美術を題材として取り上げたので、「説明」を多めに導入した。本授業では、鑑賞課題作品であるジョット《哀哭》を「見る」ことから始って、「説明」によって得られる知識(=「知る」)を吸収した上で、画面に含まれている謎を解く(=「考える」)という一連の鑑賞行為の展開を想定しているが、生徒の回答例を見る限り、この想定は見事に実現したといえる。生徒の回答例は論理的であると同時に想像力に富み、ジョット作《哀哭》の真髄に触れていることを感じさせる。生徒の優れた回答例は、注意深い観察と絵画に対する共感、そしてイメージを媒介にした論理的思考によるものであり、要するに、「見る」「知る」「考える」という鑑賞行為の一連の過程を順序良くたどったことによって生まれたものであると確信する。
- 2007-11-30
著者
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