土地利用規制の経済学的考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
最近、都市再生のために大都市を中心に容積率や高さ制限のさらなる緩和が特別措置によりなされた。これは、都市計画法や建築基準法による用途地域などの地域地区制(ゾーニング)による規制を、大きく緩和して、超高層ビルやタワー・マンションの建築を都心に可能にした。容積率など規制緩和がなされる一方、コンパクト・シティ構想のもと、都市計画法による地域地区制(ゾーニング)によって、大規模小売店舗の立地できる用途地域が減らされるなどの規制強化も行われている。そこで本稿では、都市計画法と建築基準法による土地利用規制の概要を説明し、そのような土地利用規制を行う経済学的な根拠を考察する。また、土地利用規制が、地価と地代にどのような影響を与えるかについても考察する。「市場の失敗」がないならば、土地利用が効率的になされるように、地代や地価は市場で決定される。現実には、土地利用に関しては、騒音や廃棄物、交通渋滞など土地利用の用途によっては周囲に外部不経済をもたらすなど、「外部性」の問題が大きく「市場の失敗」がある。それへの対処として、コースの定理による当事者間の交渉による解決やピグー税による解決よりも、用途地域などの地域地区制(ゾーニング)の規制での解決の方が、より現実的であることを指摘する。さらに、「まちづくり三法」の1つである都市計画法の2006年改正が、中心市街地の衰退(都市中心部の空洞化)対策を目的としたものであったことから、大規模小売店舗の立地規制の経過と問題点についても述べる。
著者
関連論文
- 土地利用規制の経済学的考察
- 土地税制と課税の経済効果 : (1)不動産取得税
- 土地税制と課税の経済効果(2) : 固定資産税(田崎三郎教授 洲浜源一教授 退職記念号)
- 景観保全について : 経済学の視点から
- 個別消費税の帰着分析
- 世代重複モデルにおける金融政策の一考察(前原雅文教授退職記念号)
- 「混合診療」問題について
- 「三位一体の改革」と財政調整制度
- 医療サービス供給における「非営利」と「営利」について
- 民間非営利組織と経済活動
- 地方分権と経済効率性
- 預金保険制度とペイオフ
- 尾道市の将来推計人口2011
- 福山市の将来推計人口2011 (岡本人志教授 退職記念号)