大学病院療養指導室における退院支援の実態と退院支援体制の検討(第1報)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究は大学病院において退院支援を受けた患者の退院後調査から,当部署の役割や退院支援体制を検討するための基礎資料を得ることを目的とした。調査はU大学病院の療養指導室にて退院支援を受けた患者202名に退院後の療養生活,退院支援への認識などについて,自記式調査票による郵送調査法を実施した。対象者の概要は男性62.6%,女性37.4%,65歳以上が5割を占めた。主な疾患は糖尿病26.1%,悪性新生物14.8%,泌尿器系・腎疾患8.7%であった。療養上困難なことは病状・生活スタイルの変化,夜間の介護や処置で,療養の継続には治療と介護を生活に組み入れる困難さや介護負担の大きさが示唆された。助かった支援は医療費の助成や公費負担という経済的な支援であった。あれば良い支援としては急変時の病床の確保,頻回な訪問看護,夜間診療で療養に伴うリスクへの保障が不可欠であることが分かった。退院支援を行った部署や職種として,当部署が最も認識されており,受けた支援の満足度も高かった。しかし緊急時の対応,退院についての傾聴,利用できる制度やサービスの紹介は不満足の回答もあった。当部署への要望ではケアの継続を見据えた退院指導,生活基盤を保障した社会資源の紹介,対象者に分かる連携体制作りを望んでいた。今後は支援の質の向上に向けた検討をしていきたい。
著者
-
金子 祐子
順天堂大学
-
カーン 洋子
順天堂大学医学部附属浦安病院 看護部
-
カーン 洋子
順天堂大学医学部附属浦安病院
-
樋口 キエ子
順天堂大学医学部医療看護学部
-
原田 静香
東邦大学大学院
-
金子 裕子
順天堂大学医学部附属浦安病院
-
カーン 洋子
順天堂大学
関連論文
- 大学病院療養指導室における退院支援の実態と退院支援体制の検討(第1報)
- 20 良好な治療経過をとった未完成婚の1例(一般演題,第35回日本女性心身医学会学術集会)
- 当院女性外来における月経前症候群の検討(診療)
- WS9-1 当院女性外来における月経前症候群の検討(月経とPMS II, 第34回日本女性心身医学会学術集会)
- 高齢者自宅死亡とその影響要因に関する社会医学研究(平成18年度順天堂大学医学部プロジェクト研究成果抄録)
- 高齢者急性期病院における患者・家族の退院に向けた関わりへの一考察
- 在宅看護演習における他分野との共通事例による学習成果と課題
- 患者家族が求める退院支援に関する研究 : 退院後の患者家族の退院支援への要望・意見から
- 高齢者急性期患者の早期退院に向けた地域連携のあり方に関する研究(共同研究発表,第1回医療看護研究会)
- 訪問看護師が期待する退院支援に関する研究(平成19年度学長特別共同プロジェクト研究報告書)
- 病棟師長が認識する病棟と療養指導室との連携に関する研究(共同研究,第3回医療看護研究会)
- 退院後の療養生活の実態と退院支援体制の検討について : 療養指導室にて退院支援を受けた患者の退院後調査より(共同研究,第2回医療看護研究会)
- 大学病院療養指導室における退院支援の実態と退院支援体制の検討(第2報) : 家族介護者の視点をつうじて
- 在宅看護における演習・実習の学習効果 : 学内演習,臨地実習の前後の比較(平成19年度学長特別共同プロジェクト研究報告書)
- 在宅移行時アセスメントシートの開発の過程
- 退院後の療養生活の実態と退院支援への満足度に影響する要因
- 重度要介護者の医療処置をになう家族介護者支援に関する研究(平成16年度順天堂大学学長特別共同プロジェクト研究成果抄録)
- 33 家族介護者の介護負担感についての研究 : 性差による負担感の相違(一般演題,第35回日本女性心身医学会学術集会)
- 病棟師長が認識する療養指導室との連携
- 順天堂浦安病院における女性専用クリニックの機能 : 開設後1年を経過して
- 看護研究 訪問看護師が認識する在宅移行時における連携の現状--連携上の困難・役立った支援より
- 在宅移行時における訪問看護師の看護力
- 在宅看護論における効果的な教授方法の検討--学内演習に焦点をあてて
- 在宅療養移行時修正版アセスメントシート試用後の病院看護師の評価
- 重度要介護者の医療処置をになう高齢家族介護者が体験する困難と助かったこと
- 家族介護者の負担感に関する研究 : 性差による相偉