精神障害者の賃貸アパート契約に至る現状と支援の課題
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概要
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目的:精神障害者生活訓練施設における精神障害者の賃貸アパート契約に至るまでの支援内容とその実際から,住宅確保に向けた課題を明らかにする。方法:T援護寮を退所し単身生活をはじめた29名を対象に,担当職員9名への半構造化面接及び利用者個人記録の内容を項目ごとに整理し、その人数を比較した。研究期間は2001年10月から2002年2月である。結果:対象者の診断名は統合失調症が最も多く24名で,その他は神経症,躁鬱病,人格障害などであった。年齢は平均41.2歳で,最年少20歳,最高齢65歳であった。賃貸アパートに退所した25名(86%)の経済基盤は障害年金や生活保護費の受給が主で,賃貸アパートの契約時に申告する職業がなく,また家族関係の悪化から保証人を家族に依頼できない者も5名いた。更に21名が精神疾患の罹患が契約上不利になると判断し病気を隠していた。結論:精神障害者の賃貸アパート契約では,家賃支払いの基盤となる就労先や保証人の確保,精神疾患に罹患しているという事実の扱いが大きな課題となっていた。今後の支援では,就労先の確保,保証人協会などの保証人制度の充実など具体的かつ実際的な支援の充実の必要性が示唆された。
著者
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新井 信之
順天堂大学医療看護学部
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佐藤 哲郎
東京都立中部総合精神保健福祉センター
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内山 範夫
東京都立中部総合精神保健福祉センター
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佐藤 とも子
東京都立中部総合精神保健福祉センター
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植田 さおり
東京都立中部総合精神保健福祉センター
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渡辺 和美
東京都立中部総合精神保健福祉センター
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大谷 知子
東京都立中部総合精神保健福祉センター
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須田 剛
東京都立中部総合精神保健福祉センター
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