硫酸系火山ガスを長期曝露している日本人健常労働者の肺機能への影響

概要

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三宅島は太平洋上,東京南部の小島である。雄山という活火山は2000年6月に噴火が始まり,主にSO_2である火山ガスは未だに排出が続いている。我々は三宅島での長期間滞在労働者100人にピークフロー,自己記述式質問票,血圧と身長測定を行い,最終的に63人の健常労働者個人データを得た。年齢と体格を考慮した予測PEFRで実測PEFRを補正し,作業場所を2群分けし実測PEFR/予測PEFR比を使用しMann-WhittneyU検定を行ったが,有意差は認めなかった。また実測PEFR/予測PEFR比をSO_2濃度,呼吸器疾患,Brinkmann Index,収縮期血圧を独立変数として多変量解析を行った。収縮期血圧にて優位な関連性が認められた(OR:1032;95%CI:1.001-1.064)。この我々の結果では,measure PEFR/predicted PEFR比の低下はSO_2大気汚染よりむしろ収縮期血圧に因るところが大きいということが言えた。この研究は三宅島住民や活火山に近接する他居住地区でのリスクコミュニケーションの目的で使用される有益な情報となるであろう。
自治医科大学の論文
2006-12-01