セボフルランはKATPチャンネルを介して犬の気絶心筋の収縮能を改善する

概要

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本研究の目的は,犬の気絶心筋において,吸入麻酔薬セボフルランによって誘導される心筋保護作用が,KATPチャンネルを介して行われることを調べることにある。気絶心筋は,冠動脈左前下行枝を5回,5分間毎の結紮と解除を繰り返すことによって作成した。22頭の雑種成犬を,コントロール群(n=7),セボフルラン群(n=7),グリブライド(KATPチャンネルブロッカー)処理群(n=8)の3群に分けた。血行動態,代謝および酸素需要の変化と心機能を,基礎麻酔下(baseline),30分間のセボフルラン麻酔後(S-30),気絶心筋作成後(再灌流前;BR),再灌流後(15,30,60,120,180min)の8点で測定した。心収縮能の指標である%SS(segment shortening)の回復は,群間比較では有意差は見られなかったが,baselineでの比較ではセボフルラン群で他群より早期(15分後)の回復が見られた。また,グリブライド処理群では,再灌流180分後でも有意に低値であった。心筋組織標本では各群とも梗塞の所見はみられず,セボフルラン群での虚血性変化は他群より軽度であった。以上より,セボフルランはKATPチャンネルを介して,犬の気絶心筋の収縮能を改善していることが示唆される。
自治医科大学の論文
2006-12-01