口腔心身症に対するparoxetineの効果
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概要
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従来,口腔心身症に対する治療においては,その高い効果から三環系抗うつ薬が用いられてきたが,抗コリン作用による口渇や眠気などの副作用のため十分な投与量が得られない症例をしばしば経験してきた。今回われわれは,口腔心身症の症例に対して三環系抗うつ薬と作用機序が異なる選択的セロトニン再吸収阻害薬であるparoxetineを投与し,その効果について検討した。対象は,当科を受診した口腔心身症と診断された8例(全て女性)で,内訳は舌痛症5例,口腔乾燥症,唾液異常感症と非定型顔面痛が各1例であった。効果判定は,疼痛を主訴とした6例に対してはvisual analogue scales(VAS)を用い,全例にたいしてClinical Global Impression score (CGI)を用いた。8例全てに症状の改善を認めた。副作用は,重篤なものはなく,2例に軽度の頭痛,嘔吐,眠気が認められたがいずれも特に処置を必要とせず回復した。Paroxetineは口腔心身症に対して効果的であることが示唆されたが,心身症はプラセボが効きやすい疾患でもあるため,今後さらに症例を増やし検討を続ける必要があるものと思われた。
- 自治医科大学の論文
- 2004-12-01
著者
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草間 幹夫
自治医科大学医学部歯科口腔外科学講座
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松本 浩一
四街道徳洲会病院歯科口腔外科
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松本 浩一
自治医科大学歯科口腔外科学講座
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小佐野 仁志
自治医科大学歯科口腔外科学講座
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土屋 欣之
自治医科大学歯科口腔外科学講座
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草間 幹夫
自治医科大学 医学部歯科口腔外科学講座
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小佐野 仁志
自治医科大学附属さいたま医療センター歯科口腔外科:自治医科大学歯科口腔外科学講座
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小佐野 仁志
自治医科大学さいたま医療センター歯科口腔外科
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