ドイツコンツェルン決算書における営業権の会計処理
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概要
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コンツェルン決算書はとくに1990年以降に高い関心がもたれるようになった。ドイツ会計基準委員会DRSC (Deutscher Rechnungslegungsstandard Nr.1)が意図するEU第7号との調和を通して,§292a HGBによる,いわゆる免責コンツェルン決算書befreiender KonzernabschlussにもとづいていわゆるHGB規定によらない世界的決算書の作成が可能となり(Weltabschlussprinzip),そこで国際的なコンツェルン決算書はHGBから離脱する可能性が生じた。したがって,US-GAAPおよびISAをよく理解することが必要となった。いうまでもなく,企業活動がますます世界的な規模となれば,投資家その他利害関係者が企業活動の実態を知るためにコンツェルンの財産,財務および収益状態についての説明Aufschlussが必要となる。以下に紹介するKuting,Karlheinzの資料は彼が採りあげる営業権の会計処理についてHGBが容認する会計処理が時流にそぐわない事態にあると示唆しているとも考えられる。つまり,HGBでは,持分集合による資本連結Kapitalkonsolidierung bei Interessenzusamenfuhrung(§302HGB)が認められるが,同様に是認される買収法Erwerbsmethode,purchasemethodによる営業権の会計処理については,ドイツ商法の規定に照らしてみれば,著しく会計政策的活動余地がある。すなわち,§309HGBにみられる最低4分の1の減額記入による償却,予想される耐用年数に応じて計画的減価記入そして計画外減価記入,さらには積立金との相殺による成果中立的計算(損益計算の歪曲)などの会計処理は,会計操作の要素をはらんでいると考える。営業権とは何か,そしてその償却処理は多様Heterogenitatであるが,その多様な会計処理の実情をKuting,Karlheinzは興味ある調査・分析で指摘している。ここに引用した5つの表は特に必要と考えたもので,合わせてそれらの解説を付け加えた。
- 2006-09-30
著者
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