M.ヴェーバー工場労働論における教育認識の構造と特質 : 形成契機としての"自律化"の思想史的位相
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概要
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16-7世紀、教育慣行の結果、世俗内職業労働を「天職」として励んだという事例を究明したM.ヴェーバーの工業労働調査論を本稿では中心にとりあげ、同時代の20世紀初頭の工場労働を通じて意図的、無意図的にどう資質能力が形成されるか、という認識を、人間形成契機としての自律化を視点に跡づけた。その結果、国民を対象とする政治教育の課題認識と繋がりつつ、機械化とともに、自律化の契機も同等に探究されていた様相が明らかにできた。すなわち、工場内分業労働での「練習」を通じて、労働外の価値関係的関心にも導かれながら合理的に「考量」しつつ、また中世職人のように最終生産物を生産するように市場的関心をもって働くこと、そうした「実践」を通じて自己自身を人間形成的に配慮するという自律化の可能性が、工場機械化のただなかでも探究されていた。
- 日本教育学会の論文
- 2007-09-28
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